中国自動車産業におけるハイパテント(高価値特許)データ分析 ―「10年以上維持特許」編

10年以上維持された発明特許は、高価値特許の中核指標の一つであり、その技術的価値と法的安定性は、市場検証と長期にわたる法的保護の二重の検証を経て確立されている。

1. 自主自動車メーカーグループ

中国自動車産業において、維持期間10年を超える発明特許の自主系完成車メーカーTOP20統計では、BYD(比亜迪)が2,193件で首位を獲得。奇瑞汽車(Chery)と北京汽車集団(BAIC)がそれぞれ2,173件、1,027件で第2位・第3位にランクインし、強い研究開発力を示している。TOP3メーカー(BYD・奇瑞・BAIC)の保有特許数は、TOP20総量の50%超を占め、自動車産業の技術資源がヘッド企業に極度に集中している構造が明瞭に浮き彫りになった。

2. 自動車イノベーション主体別動向

中国において維持期間10年を超える発明特許の保有数では、ゼネラルモーターズ(GM)が約3,000件で首位を獲得。トヨタ自動車(2,257件)とBYD(1,897件)がそれぞれ第2位・第3位にランクインした。

自動車イノベーション主体別TOP20の構成分析調査対象の上位20社中、外資系完成車メーカーと中国系完成車メーカーがそれぞれ10社ずつを占めるものの、外資系企業の特許保有数はTOP20総量の65%を占める結果となった。企業ランキングの数的均衡と特許数量の差を併せて考察すると、中国メーカーは外資系メーカーとの技術革新と知的財産保護における差を着実に縮小しつつあることが示唆される。

3. 部品サプライヤーイノベーション主体別動向

中国自動車産業における10年以上維持発明特許の部品メーカーTOP20統計では、外資系部品サプライヤーが17席を占める圧倒的優位を示した。中国企業では濰柴(WEICHAI)、三一汽車(SANY)、玉柴(YUCHAI)の3社のみがランクインしており、特にTOP10は全て外資系企業で占められるなど、自動車部品分野における外資系の知的財産蓄積が突出している実態が明らかになった。

中国部品メーカーは、10年以上維持されている発明特許の数量が比較的少ない状況だが、これは、中国自動車産業の歴史が浅いことと関連している可能性がある。

以上まとめると、中国自動車産業は10年以上維持される発明特許において積極的な成長傾向を示していると言える。外資系部品サプライヤーが特許数量で優位を維持する一方、中国の完成車メーカーは外資系自動車メーカーとほぼ互角の競争力を確立しつつある。これは中国自動車産業が、特に完成車製造分野において、技術革新と知的財産保護の両面で著しい進展を遂げたことを示す証左である。

出典:自動車知的財産権

2025年4月14日


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