水平的独占契約の実施者が他の実施者にいわゆる経済的損失の補償を要求する案件に関する処理
2025-04-27
——(2020)最高法知民終第1382号「レンガ協会」独占案件
上訴人宜賓市吳橋建材工業有限責任公司(以下、吳橋公司という)、曹培均、宜賓市レンガ協会(以下、レンガ協会という)と被上訴人張仁勳、宜賓恒旭投資集団有限公司(以下、恒旭投資公司という)、宜賓県四和建材有限責任公司(以下、四和公司という)、宜賓市翠屏区創力機磚有限責任公司(以下、創力公司という)との独占紛争案件において、張仁勳は、レンガ協会の発起人としての恒旭投資公司、吳橋公司、四和公司の強要で、張仁勳の名義での宜賓市高店機制レンガ工場(以下、高店場という)を含む50余社のレンガ工場が次々とレンガ協会に加入し、レンガ協会の前身である宜賓市建材協会レンガ支会と「生産停止契約」、「技術サービス契約」を調印した。「生産停止契約」により、張仁勳は生産停止させられ、2011年9月に生産停止扶助金をすこししか貰わなかった。
上記行為は、実質的に張仁勳を競争から排除することがあり、独占的行為を構成し、張仁勳の正当な権利と利益を侵害したので、四川省成都市中等人民法院(以下、一審裁判所という)に訴訟を提起した。最高人民法院は、2020年11月6日に張仁勳の訴訟を却下した。
最高人民法院の第2審では、本件の核心問題が、張仁勳が、本案件における水平独占契約の実施者の1人として、独占契約の他の実施者に対して、いわゆる経済的損失を要求する権利を有するかどうかである。これは、独占禁止法第50条の立法目的、被訴独占行為の特徴、損害賠償の法的効果に照らして考慮されるべきである。
まず、独占禁止法第50条の立法目的。独占禁止法第50条は、経営者が独占的行為を行い、他人に損害を与えた場合、法律に従って民事責任を負わなければならないと規定する。この立法目的は、独占的行為を引き止め・取り締まるために民事司法手段を提供し、独占的行為により損害を被った対象に民事救済を提供することにある。原告が独占禁止法に規定される独占的行為の被害者ではなく、独占的行為の実施者である場合、損害賠償請求は本質的に独占的利益の分配への請求であるので、救済の対象とはなれない。本案件において、張仁勳は水平独占協定の参加者且つ実施者の一人であり、独占行為への参加・実施により、一定期間内に独占利益の一部を獲得したので、独占禁止法による救済対象となる独占的行為の被害者になれない。
第二に、損害賠償救済の請求者は、その行為が正当かつ合法でなければならない。不法行為に参加・実施した主体は、不法行為への参加・実施により損失を被ったとしても、自らの行為の不当性により、その損失を救済されるべきではない。本件において、張仁勳は自主的に生産停止契約を履行したので、その行為自体が違法であり、被った損害は救済されるべきではない。
最後に、独占的行動の実施者に対する損害賠償は、関連する独占的行動を助長し支援するという負の法的効果をもたらす。本件において、張仁勳の主張した独占的行為による損失は、本質的に、本案の水平独占契約を履行させ、独占契約に従って独占収入を分配させようとの主張である。張仁勳の訴訟主張を支持することは、違法行為を維持し、助長することと同じである。
上述により、水平独占契約の実施者は、独占禁止法に従って、独占契約の他の実施者にいわゆる経済的損失の補償を要求する権利を持たない。関係する水平独占契約の実施者として、張仁勳の損失補償請求は立証できず、支持されない。
Sohu newsによる
2021年5月14日